[相談]
私の子どもの学校入学に際して、学校側から当該学校への寄附に関する案内がありました。
私が今年中にこの寄附を行った場合には、この寄附金について、私の所得税の計算において寄附金控除を受けることはできますか。
[回答]
ご相談の場合、行った寄附が「特定寄附金」に該当する場合には、寄附金控除の適用を受けることはできますが、学校の入学に関してするものなど一定のものについては「特定寄附金」に該当しないため、寄附金控除の適用を受けることはできません。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、次の(1)に掲げる金額が(2)に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除します。これが寄附金控除です。
上記1.の特定寄附金とは、次に掲げる寄附金(学校の入学に関してするものを除く。)をいいます。
上記2.において、特定寄附金から除かれる「学校の入学に関してするもの」とは、自己又は子女等の入学を希望する学校に対してする寄附金で、その納入がない限り入学を許されないこととされるものその他当該入学と相当の因果関係のあるものをいうものと解されています。
具体的には、入学願書受付の開始日から入学が予定される年の年末までの期間内に納入したものを指します。ただし、入学決定後に募集の開始があったもので、新入生以外の者と同一の条件で募集される部分は除かれます。
この他、「入学に関してするもの」については、次の点にも注意しましょう。
今回のご相談の場合は、入学に際しての案内であることやお子様が入学された年中の寄附をお考えのようですので、上記3.のただし書きに該当しない限り、原則、特定寄附金から除かれることとなり、寄附金控除の適用を受けることはできないものと考えられます。
学校から配付される寄附に関する募集要項などには、大抵、寄附金控除を含めた税制優遇措置の適用を受けられるか否かが記載されています。資料等を参照しても記載がない場合には、学校側へ問い合わせるなどされるとよいでしょう。
なお、今回は、所得控除としての寄附金控除を中心にご説明しました。
国立大学法人などの一定の法人に対する寄附については、上記1.の所得控除ではなく税額控除(寄附金特別控除)を適用することも可能です。ただし、この場合においても適用のベースとなる寄附金は、上記2.の「特定寄附金」です。いずれを適用する場合においても上記2.の「特定寄附金」に該当するか否かがポイントとなる点にご留意ください。
[参考]
所法78@、78A、所基通78-2、78-3、措法41の18の3、文部科学省「新入生又はその保護者が学校法人に対して任意に支出する寄附金の取扱いに関するQ&Aについて(通知)」など
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。